プロに任せる換気扇掃除

キッチン掃除の鬼門、“換気扇”

キッチンで一番汚れやすい場所といえば、やはり換気扇で、その汚れの大部分が“油汚れ”です。
ベトベトの油汚れは、見るのも触るのも嫌なものです。
かといって、掃除を先延ばししていると、油汚れが換気扇の内側や外側の壁に垂れてきたりして、余計に掃除するのが嫌になってしまいます。
そして換気扇は、簡単に掃除ができない場所でもあります。
最近の換気扇は、天井や壁の上部、レンジフードの内部など目が届きにくく手も届きにくい場所に設置されていることが多くなっています。
そのため、汚れがたまっていることに気づきにくく、日々のお掃除でなかなか手が回らないことになってしまいます。
大晦日の大掃除の時に、溜まりに溜まった油汚れを発見して後悔しないためには、そもそも汚れが溜まらないように注意する必要があります。
一番簡単な方法は、市販の換気扇用フィルターを取り付けるという方法です。
換気扇の上にかぶせるだけで油汚れをある程度防ぐことができますし、最近は油汚れ予防用のフィルターも販売されています。
フィルターが汚れたら外して捨てるだけなので、とても簡単便利です。

ただし、フィルターで換気扇の油汚れを完全に防げるわけではありません。
空気と一緒に油の粒子がフィルターを通り抜けることは避けられません。
フィルターを取り付けて安心していると、目につかない奥の方に油汚れが溜まっていた!ということにもなりかねません。
換気扇のファンや内部など油汚れが付きやすい場所に洗濯用柔軟剤やヘアリンスを塗っておくと、後で油汚れを落としやすくなりますが、こまめに掃除しないと油汚れはすぐに溜まってしまいます。
やはり定期的に、こまめに掃除しておくことが換気扇の掃除で苦労しないための秘訣かと思います。
換気扇は2種類ある-プロペラファンとシロッコファン
換気扇には大きく分けて、空気をプロペラで押し出す「軸流ファン(プロペラファン)」と、スプーン状の羽を束ねた円筒を回転させて空気を押し出す「遠心ファン」の2種類があります。
そして遠心ファンは「シロッコファン」と「ターボファン」の2種類に分けられます。
古い住宅のキッチンやお風呂場、トイレの換気扇にはプロペラファンがまだ多く使用されているようですが、最近の住宅の換気扇はシロッコファンが主流となっています(ターボファンも、羽がシロッコファンよりも大きいので外風の抵抗に強く、直接排気や短いダクトに適しており、排気する場所の融通が利くので、リフォームなどでよく使用されています)。

構造が単純なプロペラファンは素人でも比較的簡単に分解できるので、掃除はそれほど難しくありません。
一方、シロッコファンはレンジフードの内部や壁・天井に作り付けになっているので、一見すると素人に分解掃除は無理に思えます。
しかし、一部の製品(海外製品、業務用品、デザイナーズ物件の特注品、ダクトの奥に設置されたもの等)を除き、シロッコファンは基本的に素人でも分解掃除することが可能です。
お風呂場やトイレの換気扇
お風呂やトイレの換気扇も、放っておくと悪臭のもとやカビの温床になってしまうので、定期的に掃除する必要があります。
キッチンの換気扇と違い、油汚れがこびり付いているわけではないので、比較的楽に掃除ができるのではないかと思います。
基本的にお風呂やトイレの換気扇は、浴室用・トイレ用の洗剤で綺麗にすることが出来ますが、キッチンと同様に問題になるのが分解と組み立てです。

お風呂場やトイレの換気扇は、天井や壁の上部など手の届きにくい高所にあり、しかも手の届きようがないダクトの奥にファンが設置されていることが少なくありません。
そのため、お風呂場やトイレの換気扇の分解掃除は、素人が作業するにはハードルが高過ぎる場合が往々にしてあります。
また、お風呂場やトイレの換気扇の分解掃除では、タイル床でも滑らない足場を確保する必要があったり、ネジやナットといった部品を排水溝などに落として無くさないよう床にシートを敷くといった用心も必要となります。
分解・組立や高所作業が苦手という方は、手を出さないほうが無難かもしれません。
汚れ具合で掃除の仕方は異なる

換気扇の油汚れは、その汚れ具合で掃除の仕方が異なります。
軽いものならヘアドライヤーの温風で汚れた部分を温めて新聞紙やタオルなどでこするだけでも落とすことが可能です。
油汚れは乾燥させると落ちやすくなるので、ベトベトの部分に小麦粉をまんべんなくまぶして、日向でしばらく干しておくと、小麦粉が油を覆ってポロポロ取れやすくなるので、こそげ落としやすくなります。

汚れたファンやフレームなどの部品を台所用洗剤や掃除用洗浄剤でお湯洗いすれば、軽い汚れならキレイに落ちます。
汚れた部分をキッチンペーパーで覆って洗浄剤をたっぷり染み込ませる「湿布」や、汚れた部品を洗浄剤を溶いたお湯にしばらく漬ける「漬け置き」をすれば、大抵の汚れは落とせます。

ただし、そうやって見た目はきれいになっても、触ってみるとベタベタが残っていることが多いのが油汚れの嫌なところです。
そこで利用したいのが「重曹」です!
油汚れは弱酸性の汚れであるため、アルカリ性の重曹で中和することで汚れが落としやすくなります。
洗浄剤として市販されている重曹を、500ml入りのスプレーボトルに大匙1~2杯入れてよく振り、きれいにしたい部分にたっぷりスプレーし、その上にキッチンペーパーを当ててさらにスプレーし、しばらく放置しておくと、しつこい油汚れが簡単に取れてしまいます。
キッチンのシンクに張ったお湯に1カップ入れて混ぜておき、分解した換気扇の部品を漬けて1~2時間ほど放っておくと、ベトベトの油が溶けて驚くほど簡単に汚れを落とすことができます。
重曹を水で練ってペースト状にして汚れが気になる部分に塗りつけてしばらく放置してから、古い歯ブラシなどでガシガシこすると、すっかり固まってしまった汚れも落とすことができます。

ただし、アルミ製の部分に重曹を使うと黒ずんでしまうので気をつけましょう。
重曹はアリカリ性なので、アルミの表面に水酸化アルミという成分が形成されてしまうのです。
もしも黒ずんでも、慌てず騒がず酸性のお酢で磨けば大丈夫です(ただし、アルミは酸にも弱いので長時間の漬け置きは止めましょう)。
重曹パワーにも限界があり、どんなに頑張っても落ちない硬く固まった油汚れが残ることがありますが、最期の手段が残されています。
「目には目を、油には油を」ということで、灯油を使うのです。

汚れがどうしても落ちない部品をしばらく灯油に漬けてからブラシなどでこすると、あれほどガンコだった汚れが面白いように落ちてくれます。
灯油をお使いの際は、臭いを消そうとして水洗いすると水サビの原因となるので、洗浄剤で洗ってから乾いた布でよく拭き、よく干して乾燥させる必要があります。
また、作業現場は火気厳禁で、電化製品や電子機器も着火源となる可能性があるので遠ざけておきましょう。
最後はやっぱりプロにおまかせ
“お掃除のプロ”であるハウスクリーニング業者でも高額料金の別枠扱いでの依頼となってしまうほど、換気扇の掃除は難易度の高い掃除のようです。
「キッチンパック」などといった、台所一式を掃除するサービス・パッケージの中に換気扇を含めていない業者も多く見られます。
しかし、素人ではどうしても落としきれない汚れ、分解できない換気扇の掃除はプロの手を借りるほかありません。
うれしいことに最近では、ハウスクリーニング業界のサービス競争が激しくなったため、換気扇の掃除を手頃な料金で行ってくれる業者が増えてきています。
まずはご自分で換気扇の掃除にチャレンジしてみましょう!
その上で、自分ではやり切れなかった部分をプロの業者さんにお願いすれば、換気扇がキレイになった上にプロのテクニックを勉強できるので一石二鳥といえます。